はじめたこと

甲鉄城のカバネリ

これは面白い。本当に面白かった。

2016年4月~6月まで、フジテレビのアニメ放送枠「ノイタミナ」にて放送されてた作品なんだけど、めためたに面白かった。

その当時は私がやっと「深夜にアニメが放送されている」ということに気がついたときで、、、そもそもアニメーションがこんなにも多くやっているなんて知らなかったし、こんなにも日本のアニメ文化が進化しているなんて、本当に知らなかったな。無知だった自分を恥じた。

 

この作品の舞台は「日ノ本(ひのもと)」という架空の世界。近世から近代に移り変わるぐらいの時。その当時、日ノ本から遠い遠い国で、ある都市伝説的な話が有名になったという。それは一度死んだ人間が生き返ったというもの。人とはかけ離れた、恐ろしい化け物のような姿で・・・その化け物は人を襲い、人の血をしゃぶり、次々に殺していったということだが、その話が日ノ本に来たときには噂話として徐々に忘れられていった。

それから時が経ち、その話は本当になる。遠い国の方である国が一夜にして滅びたという。おとぎ話とは異なる点として、なんと屍に噛まれたものは、同じく屍となり、それはそれは恐ろしいゾンビのようなものが永遠と増殖され続けるということであった。つまり、一度屍に噛まれたら最後。もう二度と、人に戻ることは出来ないのだ。それはのちに「カバネ」と呼ばれ、極東にあった日ノ本にもそれが襲来するのにそう長い時間は必要としなかった。

幕府はこれに対抗すべく、「駅」と呼ばれる砦を各地に作ってカバネに対抗する事とした。しかし、九州地方にカバネが侵入し、一気に九州の砦は飲まれてしまう・・・このことから、人々は駅の中で隠れるように暮らすようになり、「蒸気機関車型の城(駿城はやじろ)」を持ち、砦にカバネが現れた際には、北へと逃げるような暮らしをせざるを得なくなった。

ここまでが、お話の根幹となる部分。

 

そして物語の主人公となるのはごく普通のどこにでもいる青年「生駒(いこま)」17歳。

先述にある、駿城の整備士として工場で働いている。ある日、生駒の住む駅に「甲鉄城」という駿城がカバネから逃げてきた。その清掃・修理をしていると、それに乗ってきた人々は服を脱がされ「傷跡」がないかどうか厳しい検閲を受けなければならない。

その理由は前述の通り、カバネに一度でも噛まれたり、切り傷からカバネの血が体内に入っただけでカバネになってしまうので、外から駿城が来た場合はこのような検閲が必ず行われる。ひとたび傷を見つけようなら、3日間牢屋に投獄され、カバネにならなければ無事解放されるというものだった。発症すれば、人間によって殺される。それだけ、人間はカバネに対して何も抵抗できず、ただただ恐怖の塊でしかなかった事を意味していると思う。

 しかし、そこで駿城から降りたある少女が検閲をとおらず、入国審査をクリアできたことに違和感を覚える生駒とその仲間達。甲鉄城には何か秘密があるのではと違和感をもつことになった。そう、その少女こそ、のちに生駒にとって重要人物となる本作のヒロイン「無名(むめい)」である。

 

 この作品のテーマはずばり、「恐怖」。太刀打ち出来ない恐怖にさらされたとき、人間はどうなってしまうのか。その恐怖の象徴が「カバネ」、恐怖にあったとき、だいたい人間は逃げる選択をする。恐怖が生み出す世界は他人に対する疑心暗鬼、そこから不安が生まれ、他を憎み忌み嫌う。カバネが増え続ける原因は「不安からくる人間への憎悪」だから、カバネは人を襲う。しかし殺しはしない。不安が仲間を増やして人間に対抗しようとする心を芽生えさせる。その不安、憎悪に飲み込まれてしまったものはカバネと化す。それが普通の人間。そして生駒や無名、美馬などの「カバネリ」は「人とカバネの狭間にあるもの」この人達は心は人間だが、体はカバネ。つまり対抗する力と不安に打ち勝つ勇気と強さをもった象徴として描かれている。しかし、心は人間だからこそ、いつカバネになってしまうかわからない不安や人間から受け入れてもらえない恐怖の存在として見られる辛さ、カバネの気持ちを代弁しているような存在である。要するに、不安と勇気は表裏一体のような、要となる人物である。

 

 この世界は、昨今の現状とよく似ている。不安が他人に対する疑いの心を生み、相手を攻撃し始める。人が思うより、相手に対する疑心暗鬼の心は伝染していくもので、あっという間にウイルスよりも恐ろしい「恐怖心」ができあがってしまう。スーパーの店員に八つ当たりしたり、道行く人がマスクをせず咳をしただけで「コロナだ!」と差別する。医療従事者に至っては、病院に勤めているというだけで「買い物に来るな」「公園に来るな」「息をするな」といわれる始末。

 その人達は、私たちが生活していけるように、大事な人たちが生きられるように必死に戦ってくれているのに。

 

 甲鉄城のカバネリの劇場版「甲鉄城のカバネリ海門決戦編ー」の中で生駒が言っていましたが、「誰かを思いやる心があれば、俺はカバネにならないと気づいた。だから俺は大丈夫だ。」と。無名に言っていました。そう、相手を疑うの反対は思いやる心。

有事の時でも、相手を思いやる心があれば、被害をもっと押さえられると思うのです。何が今1番ふさわしい行動かどうか。見極める時間も能力もみんな持っていると思います。コロナはカバネより今はまだましです。

 私は一日でも早くこの状況が収束することを家でずっと願っています。

 

 はやくお出かけできるようになりたいな、、、、、、、、、、、、、、、